古代の黒曜石の道を辿って長野から東京まで歩いてみた(2徹)

制作のアドバイス
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歩くきかっけとなった作品↑

こんにちは、突然ですが皆さんは1日にどのぐらい歩いたことがあるでしょうか。

今回は大学のときに長野から東京まで3日で歩いた体験談を書きたいと思います。

なぜ長野から東京まで歩くことになったのか

美大出のわたしが大学三年生の6月のある日、こんな課題を出されました。

「小平周辺(むさびの近く)を調べ、コンセプトを主とした作品を制作する」

というものです。

(コンセプトを主にというのはコンセプチュアルアートを制作するということで、作品のそのものの造形はもとより、なぜその作品ができあがったか、どのような意味、背景があるのかというストーリー性を押し出した作品を作るということです。)

黒曜石との出会いと決意

まずこの課題を進めるべく、小平の周辺リサーチを行いました!

小平はいかにも都心から外れたどこにでもあるような田舎という感じで探しても何も見つからないかなーって思ったりしていましたが、

調べてみると小平では、郵便ポストの数が多いことで有名だったり(100mに一個ぐらいの感覚めっちゃ多い)、多摩川上水があったりしたわけですが、歴史的に有名な鈴木遺跡という遺跡と資料館がありました。

暇そうなおじさんが中に立っており、

見た目はプレハブのような小屋の資料館で「ここが有名な遺跡の資料館なのか、、?」という疑問がありました。

その資料館には主に遺跡から出土した石器が並んでいたわけなのですが、そこに黒曜石の石器あったわけです。

その黒曜石はなんと小平では採れず、実は長野や箱根のほうでとれたものが人の移動とともにこの小平までやってきたものだそうです。

初め長野では黒曜石の塊を木の棒にくっつけたものですが、使っているうちにだんだんと割れてきて、その破片を使って剃刀のようにした道具がこの小平で見つかっています。

それは道具というものを大切にしてきた証でもあるわけですね。

そしてこの話に感銘を受け、これをコンセプトにした作品を作れないかなぁと考えました。

そして数日後、、、

ふと思いました。その同じ道を辿ろうと。

「長野で黒曜石を拾い、当時の人が通ったであろう道を歩いて東京まで行き、その黒曜石で道具を作る。」

これをコンセプトにした作品を制作しようと

そこから23年間の人生でもっとも険しい一週間が始まりました。

まず準備として大手の靴屋に行き、足の蒸れ対策の一番通気性のよさそうな一万円のスニーカーを買い、(さすがに店員さんに長野から東京まで歩ける靴を探してますとは言えなかった。あと結構高くついた)

夜道を歩くための懐中電灯、スマホのバッテリー等を持ち、出かけました。

日数的には、石を持ち帰ってから制作することを考えるとあまり時間はなく、長野から東京まで歩くことに使える時間は5日ほどしかありませんでした。

距離的にはGoogleマップで調べたところ3日ほどらしいです。

ただしこれは一日中、夜遠しで歩いたときです。

徒歩計画

初日は石を拾うために峠を歩き、

そこから長野から東京まで4日で180キロ歩く道のり。大体1日45キロペースです。

通常1時間に歩く速さは3~4キロなので13時間ほど歩く感じです。

この時心配だったことは変な人に絡まれないかな、、ということだけでした。(笑)

いざ長野へ

初日に夜行バスで東京から長野の諏訪湖付近まで行きました。

夜行バスからのぞく景色を見ながら、「これから俺が歩く道かぁ、、というか道無くない?」と半ば絶望しながらゆられていました。

深夜に到着したので初日は漫画喫茶に宿泊。

翌日明朝に国道142号線沿いの山道を上り、その付近のお店などに黒曜石はあります。

とりあえず黒曜石は入手したので、

そこから乗り物類禁止で東京を目指します。

その日は下山後に初日と同じ漫画喫茶に宿泊。

早朝の5時に起きて朝の静かな諏訪湖を眺めながら歩き始めました。

↑早朝の諏訪湖付近

国道沿いを歩くのですが、

親切なことに国道には東京までの距離を示した看板が親切に置いてあります。

東京まで190kmという余計なお世話な看板を見ながら歩き進めます。

が、その夜想定外のことが起こりました。

公園のベンチとかで野宿して寝ればいいと行く前は思っていましたが、7月の長野は寒い(笑)

割と厚着だったのですが、あまりの寒さで歩くためにと用意した最小限の荷物では温まることができず、寝れません。

何度か頑張ってはみましたが、おなかを壊しそうです。

あまりに夜が寒いので結局夜中もずっと歩くことになりました。

幸い、涼しさで嫌いな蚊はいませんでした!

その日は甲府の方まで歩き、60キロ以上は歩いたと思います。18時間ほど歩きました。

歩いてみてわかるのですが、まず足を痛めるところはなぜか足の甲です。

押すと痛い、あざができた感じです。

歩くだけなのにあざができるってやばい。

まだこの一日は元気でした。

景色を見ながら歩けるぐらいの余裕がありました。

長野歩き2日目

翌日は太ももとふくらはぎとふとももに激しい筋肉痛が襲います。

それも尋常じゃない(笑)

歩いている間は痛くないのですが、5分休むと筋肉が固まって動こうとすると激しい痛みが襲います。

湿布を買うために早朝に薬局が開くのを待ち、徳用の湿布を両足に8枚ほど貼ったのはいい思い出です。すごく湿布臭かった

歩いてみると分かるのですが、国道と市街地を歩くのって疲労度が全然違います。市街地だと地図を確認しながら歩いたりするので、結構疲れます。

そして二回目の深夜歩きではほとんど車が通らないような国道を一人懐中電灯を照らしながら歩きました。あまりの疲労でなにか歌を歌いながら歩いてた気がします。完全におかしい人です。二日徹夜するとかなり精神的にきますね。

周りに人がいないのが幸いです。

長野歩き最終日

長野から東京に行くときの最大の山場は高尾山です。

高尾山の道はおもったよりも曲がりくねっていて歩きにくいのと、

今まで涼しくて歩きやすかったのが高尾山を上るあたりで、めちゃくちゃ暑くなります。

一時間に1本ペットボトルを消費していました。

最終的に東京都の境目の高尾山を何とか越え、東京都には入ることが出来ました。

東京都の看板を見たときはとても感動的だったことは今でも鮮明に覚えています。

ここまでくると気分が返って高揚し、どこまででも歩けるような気持にもなります。

一種のランナーズハイでしょうか。

直後に足の両膝の半月板の所に筋が切れたような嫌な違和感を覚えたためそのまま帰宅。

階段さえもまともに上がれない状態でした。

なぜか足が5cmぐらいしか上がらない!

徒歩記録のまとめ

初日

夜行バスで茅野に向かう

諏訪湖の漫画喫茶に宿泊。

二日目

早朝に起き、峠付近の道中で黒曜石を入手。

下山後、諏訪湖の漫画喫茶に宿泊。この時すでに30㎞分山往復する

三日目

過酷な旅の始まり。

諏訪から甲斐まで歩く。歩いた距離65km

足の甲が痛み始める

公園で野宿を試みるも寒くて断念。

四日目

早朝に薬局で湿布を買う

塩川大橋まで歩く。歩いた距離60km

足全体が痛み始める。

五日目

高尾山を越え、東京入り。歩いた距離45kmほど

膝の筋が切れ、帰宅。

初日を含めて通算200kmの道のりを歩いた。

今回の体験で気が付いたことまとめ!

まとめると、

・長野は寒いけど、高尾山を超えるとめっちゃ暑い!

・道の駅は17時まで

・飲食店の開いてる時間は短い。17時までに閉まる店がほとんど

コンビニはすっごく便利(トイレに行けたり、御飯が買える)

・甲州街道を歩く人はほぼいない

一日20時間は歩ける

・東京に向かうほど自分の居場所がなくなる

・自分の中の距離のものさしが長くなる

一番のネックは食べるところが少ないところですね。

一応店はあることはあるのですが、

24時間歩き続けたときにほとんどの店の営業時間で9時から17時までです。

それって24時間のうち3分の1ですからね!

コンビニが24時間でなければ倒れてました。笑

東京に向かうほど自分の居場所がなくなるというのは、

長野の田舎だと田んぼのあぜ道とかで休むこともできたのですが、

都市部に入ると、なかなかお店がひしめき合ったりして休むことができないんですね。

ここは誰かの私有地ですという主張のようなものが強く感じられてしまいます。

これは普段の生活では全く気にならなかったのですが、今回痛感しました。

あと、今回一番危なかったのが、意外にもトンネルの中でした。

最初、歩く前は変な人に絡まれないかなとかそんなことを思ってましたが、それは全くなかったです。

歩いたなかで長いものは3㎞ほどのトンネルもあったのですが、(歩くと1時間かかる)

長いトンネルの何が危ないかってまず歩道が狭い!

肩幅ぐらいしかないです。

そこを歩いていてある時二車線で二台のトラックがすれ違いました。

すると何がすごいかって風圧です。

飛ばされそうな風圧に押され、真上付近にトラックのミラーが通り過ぎるのです。

さすがにひやひやしました。

 

皆さんもトンネルを歩くときはトラックに気を付けてください。

ちなみに他の人にこの体験を話したときの感想は

「なんか、、こわい」

という意見が多かったです。

この記事が次に歩く人に参考になれば幸いです。

おわり

コメント

  1. 千咲 より:

    読みました!なんの歌を歌ったんですか!?

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