こんばんは小堺です。
今回は「絵がうまい」=リアル? について話したいと思います。
世間でよく絵が”うまいな~”とか”へただな~”とか言いますが、
その基準ってなんでしょうか。気にしたことはありませんか?
皆さんも小学生や中学生のころ、絵を描いたときに”うまいな~”や”へただな~”
と一度は言われ、一喜一憂した経験があるのではないでしょうか。
私自身はどちらかというとうまいと言われるほうではありましたが、
大学の活動で、小学校の美術の時間に授業の手伝いをしたときに
小学生の男の子が描いた絵を見て、担任の先生(美術系ではない)が”へただな~”と言って
その子の元気が無くなったことを今でも覚えています。
うまい、へたの基準は何でしょう、、
例えば細密に描写されたリアルで今にも動き出しそうな絵は確かにうまいです。
が、
仮にそれだけが”うまい絵”であるとするならば、
写真のような絵が最も”うまい絵”ということになりますよね。
話を少し変えます。
今度は言葉を変えてみて、”うまい絵”ではなく”いい絵”とはなんでしょうか。
私の考えで言えば、
例えば美術館や展示会に行ったとします。よーーくイメージしてください。
そこに100点ほどの絵画があったとしますね。
置いてある絵はもちろん写真のようなリアリズムの絵もありますが、
ゴッホやピカソをはじめ、多くの著名な画家の油絵や、イラストのような絵、
シュールな絵、抽象的な絵など様々です。
そこにあなたが行った時にたくさんの絵の中から”一番気になった絵”があなたにとって”いい絵”であると私は思います。
このあなたの選んだ”いい絵”とは必ずしもリアルな絵ではないのではないでしょうか。
おそらく気になったのにはいろいろな理由があると思います。
例えば雰囲気が落ち着いてていいとか、見ていて優しい気持ちになれるとか
描いてある絵の中人物に感情移入できるとか、
そういった理由が出てくると思います。
そういった、感情を抱かせることはリアルな絵からは表現しづらいことではないでしょうか。
ですから、”いい絵”=”うまい絵”は違うことを分かっていただきたいです。
いい絵、うまい絵とは何か
はっきり言ってしまうと、世間一般では
うまい絵=リアルな技術のある絵
いい絵=見た人の感情に訴えかける絵
だと私は思います。
ですから、”うまい絵”じゃないから”いい絵”ではないということは無いんですね。
(あくまで世間一般の基準です。美術史の中でいい絵というのはまた違う意味を持っています。)
世間ではうまいかどうかで絵を判断している人が多いですが、少なくとも美大を出たり、美術に関心のある人は絵をうまいかどうかではなく、いい絵かどうかの判断で作品を見ています。
その作品がどれだけ見た人に訴えかけるかです。
それは作品表現でもあり、個性なのです。
絵がうまいかどうかというのは周りの人も判断できますが、いい絵かどうかは、どのように印象に残ったかというその人の中だけに価値の判断基準があるんですね。
自分の価値基準を持っている人でないと出来ないのです。
なので絵を見るときにはうまいかどうかではなく、”いい絵”を基準に見るようにしていただきたいと思います。
今回私は世間の”うまい絵”の認識のずれを感じたのでこの記事を書きました。
少しでもご理解いただければ幸いです。
補足
実はうまいけどよくない絵というのは存在します。
私が美大の受験生だったころ、同じ予備校の中で3年ほど浪人しているが、なかなか美大に合格出来ない人がいました。
その人の鉛筆画(デッサン)は確かに浪人してるだけあって技術はあり、いわゆる”うまい絵”だったのですが、”いい絵”では無かったのです。
どういうことかというと、作品が固く冷たかったのです。
浪人するとデッサンは確かにうまくなります。しかし、ずっとデッサンばかりすると、作品に気持ちが入らなくなっていき、惰性で描くようになってしまうんですね。
そうするとだんだんと冷たくなっていき、固い作品が仕上がります。
これは特に受験では嫌われる絵です。
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