アート作品には作品そのものだけではなく、コンセプトというものがあります。
そのコンセプトについて知っておくと
美術館に行って作品を見るときに今より違った視点で見ることができるのではないかと思い記事を描きたいと思います。
作品にはつきものの「コンセプト」
コンセプトとは何か、、、
作家が作品を制作する場合、とくに現代ではまず作品を作る前に
「なんのための」「何を意味する」作品かということを考えます。
それがコンセプトと呼ばれるものです。
アート作品の要素は
作品(表現)+コンセプト
で成り立っています。
このどちらに重きをおくかは作品によって変わりますが、
現代のアートはコンセプトを重視する作品が多く、
中でも特化した作品をコンセプチュアルアートと呼ぶぐらい、作品の要素としては重要です。
ちなみにアート作品にコンセプトという概念が生まれたのは比較的最近です。
今までは絵はそのものさえあればOKだったのが、それに加えてその作品の背景や、なぜその作品が生まれたのかという背景も重要視される時代になりました。
美術史上最も話題になった「泉」
コンセプトに特化した作品の例として一番に上がるのが
マルセル・デュシャンの「泉」ではないでしょうか。
ちなみにこの作品です。
男性用の小便器が横に置かれ、サインが書いてあるだけの作品です。
もう「わけがわからない」
最初みたときそう思うと思います。
気持ちはわかります。
実際この作品が始めて展示されたとき会場のみんながそう思いました。
「これはアートなのか?」
これがコンセプトに重きを置いた作品なのです。
「泉」に秘められたコンセプト
この作品のコンセプトはアートの定義を考え直す。ということです。
「これはアートなのか?」という疑問から
これが作品では無いというなら、何がアートといえて何がアートでは無いのか
そう考えるきっかけを作った作品なのです。
当時は油絵とかブロンズ像とかのいわゆる伝統的な作品ばかりがアートだったことに対して疑問を投げかける作品なんです。
こういわれるとこの作品を見たときの考え方が少し変わったと思いませんか?
こういった「思想」を楽しむのが現代アートなんですね。
この手のアート作品というのは予備知識が無いまま見てもよくわからないまま終わってしまうと思います。
少し知っておくだけで、例えば彼女とのデートでかっこつけてよく知らない現代アートの作家の展覧会に行ってしまったときに、なんとも言えない空気になるのを避けることができるかもしれません笑。
逆に腕組みをしながらまじまじとこの便器を見つめていかにも通ぶるおじさんがいたら、多分何も分かってない人です。笑
そもそもなぜコンセプトが生まれたのか
そもそもコンセプトが生まれたのが、今までの絵に飽きた人たちが作品にコンセプトを取り入れたというのが理由です。
絵は歴史とともに変化しており、最初は壁画から宗教画へ、そして庶民がモチーフになり、リアルから感じたものを重要視する印象派、さらにモチーフのない抽象画。
その抽象画にも飽きた人が新しいアートの可能性して作品にコンセプトを取り入れました。
ざっくりまとめると絵がきれいなだけだと物足りないと感じた人たちがこのコンセプトを取り入れました。
コンセプトがアートを難しくする
さきほども述べたようにこのコンセプトが曲者で、
一般のひとが思う、「アートってなんだかよくわからない」現象を巻き起こすのです。
アートにはコンセプトがあるものも多くある。
ということを本来は中学や高校の美術教育でもっと教えてもいいと思うのですが、
なかなかそうもいかないのがこのご時世です。
この手の作品を美術館に見に行くときは軽くネットで作家について
予備知識を入れるだけでずいぶん難しさは取れるのかなと思います。
まだ学校の美術の鑑賞では、現代アートを取り入れているところは少ないと思います。
なので、コンセプトについてそもそも知らない人が多いですね。
参考:アートの見方についての記事はこちら
コンセプトの決め方
今度は作家視点からコンセプトを見てみましょう。
作品を制作するときには大抵、テーマがあります。
例としては
生と死、環境問題、政治、テクノロジー、などです。
そのテーマを決めた後に、表現の方法・コンセプトを決めます。
例えば同じテーマでもそれらの表現の種類はいくつもあります。
もし、テーマがごみ問題であったら、
テーマ ごみ問題
方法 道端に落ちているごみで東京を模した作品を作る
コンセプト 都市生活において誰の私有地でもない所に置かれたゴミを集め、東京を再現することによって、都市の生みだされ続けるごみの問題について考える。
方法 ごみを土に還すことを試みた作品
コンセプト ごみを土に還すように試みることで、本物の土と比較したときに、ごみは決して同じ土にはならないということを確認させる
このような感じです。
今ぱっと思いついたコンセプトです。
この二つのコンセプトって全然意味が違いますよね。
また、同じコンセプトでも表現のしかたはいくつもあります。
例えば上の東京のごみのコンセプトでしたら、
東京の象徴する東京タワーを作ってもいいですし、
東京都全体を作ってもいいと思います。
このようにしてアーティストが違えば、
同じテーマやコンセプトを持っていたとしても作品は全く変わってくるのですね。
これってとても面白いですよね。
多様なコンセプト
コンセプトも作品によって多種多様で、先ほど紹介したデュシャンの「泉」のように明確な狙いがあるものから、個人の実体験に基づいたもの、造形や色彩の美しさをそのままコンセプトにしたもの、奇抜なアイディアをコンセプトにしたものまで、作家の数ほどコンセプトの種類があります。
もし美術館やギャラリーに行き機会があれば、作家のコンセプトをぜひ知ってください。
そうすることでより作品の鑑賞が深まります。
ちなみに今回のような現代アートのコンセプトなどの考え方をもっと知りたい方は
下記の本がオススメ。
アートについて一番わかりやすく面白く解説しています。
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