抽象画とは?
今回は抽象画って何?っていう人向けに、ざっくりと解説していきます。
絵画のジャンルとしてはかなり大きく、絵を描かない人でもよく聞く言葉かなと思います。
でも抽象画について意外と歴史や、代表的な画家を知らないことは多いのではないでしょうか。
そこで今回はなるべくわかりやすく解説していきます。
抽象画について深く知っていきましょう!
絵画のうち、具体的なものが描かれていないものは抽象画
まず抽象画の定義ですが、一言で言うと
「絵画作品のうち、具体的なものが分かるように描かれていない絵が抽象画。」
だと思っています。
たとえモチーフがあったとしても、第三者が作品を見たときに、はっきりと何が描かれているのかがわからないものは全部抽象画と考えていいです。
例えば、幼稚園児ぐらいの子が描いた犬なんかは、動物にすら見えないような絵ができると思います。
広い意味ではそれらも抽象画に近い感じですね。
中には半抽象(絵の中に具象と抽象画混在するような絵)なんてものもありますが、大体このような定義だと僕は思ってます。
このように考えると抽象画はかなり幅広いニュアンスを含んでいますね。
まぁ作者が”これは抽象画です”といえば抽象画になります。
逆説的にとらえるなら、具象画でないものを抽象画ととらえてもいいかもしれません。
具象画は具体的なものが描かれたもので、だれが見てもこれは”○○が描かれているね”とわかる絵だと思います。
いつから抽象画が生まれたの?
抽象画は1900年代の初めに生まれました。
その初期の作家はカンデンスキーやモンドリアンといわれています。
1900年代の初めに抽象画が生まれたということですが、比較的最近な気がしませんか?
まだ100年ちょっとの歴史しかありません。
意外と歴史が浅いのに驚きです。
今まで抽象画は無かったの?
なぜ抽象画が生まれたのが最近なのかというと、そもそも今まで”抽象画”という概念自体がありませんでした。
そもそも絵は人に何かを伝えるものとして生まれたものです。
例えば最古だと洞窟の壁画(人が狩りをする様子など)や、宗教を伝えるため、人の肖像を残すためのものなどです。
なので、今までは「絵=具象画(具体的なものが描かれたもの)」が常識としてありました。
具体的なものが描かれていない絵は人に何かを伝えることが難しいので、そもそもそんなものはなかったのです。
しかし、1800年代の終わりにすこし変化が生まれました。
それが印象派の誕生です。
印象派とはざっくり言うと見えたままをリアルに描くのではなく、自分がどう感じたのかの表現を加えて描いたものです。
有名な画家では初期はマネやドガ、モネなどで、後期はゴッホ、セザンヌなど。
そこからフォービスム、キュビズム、表現主義などが生まれます。
これらは印象派の絵がさらに抽象画に近くなったような絵画。
フォービズムは野獣派と呼ばれ、”絵は好きな色を塗っていいよね”という感じで、現実とは全く異なった色を大胆に塗り始めた絵画。
主な画家はアンリマティス。
キュビズムはモチーフをいろんな角度から見た状態を一枚の絵に無理やり組み込んだような絵画。
これはピカソの「泣く女」や「ゲルニカ」で有名です。
こうして写実画から色や形が解放されていき、抽象画に移り変わってきます。
代表的な印象派の作品
ここからキュビズムやフォービズムへ
さらに抽象画に変化していきます↓
抽象画の作品の鑑賞のしかた
抽象画の鑑賞のしかたですが、僕の体感でお話しします。
絵をまず1分ぐらいぼーっと眺めてみて、どのような感じがするか(なんか爽やかだなとか、暗い感じがするとか)を考えてみてください。
そのあとに、どうしてそう感じるのだろうとか、このような感覚はどのような場面や風景を表しているのだろうとか、作家はどのような気持ちで描いたのだろうとかって考えてみます。
このように考えていくと、1枚の抽象画からどんどん鑑賞が深まっていきます。
また、たくさんの絵が飾られていたときに、1枚だけ自分がもらえるとしたらどの絵がいいかと考えるのもいいです。
決まったらその理由を考えてみましょう。
最初は抽象画の鑑賞は結構難しいと思うかもしれません。
具象画と違って具体的なものが描かれていないので、何を見ればいいのかわからないと思います。
ですが、風景をぼーっと眺めるような感じでみればそれでOK。
絵の鑑賞についてはこちらで詳しく解説しています↓
そもそもアート自体、よくわからん、、!という人にはこちらの本がおすすめ↓
僕が読んだ中で最もわかりやすく、面白くアートの全容を解説されています。
抽象画の代表的な作家
代表的な作家を一覧でまとめてみました!
主な抽象画の作家
・カンデンスキー
・パウルクレー
・マーク・ロスコ
・モンドリアン
・ジャクソンポロック
この辺の画家は美術の教科書や、歴史の教科書にも出てくる作家です。
・カンデンスキー
カンデンスキーは抽象画の第一人者とも呼ばれるほど初期の抽象画の作家です。
彼は音楽の音やリズムを絵画にできないかを試みた作家。
音楽の記号のような黒い線や、カラフルな色面が組み合わさって構成されています。
・パウルクレー
四角い色面を組み合わせた作品で有名。
点、線、面で色がまじりあうような絵画になっています。
・マーク・ロスコ
ロスコの絵画は晩年の作品が有名です。
大きな四角が画面からにじみ出てくるような独特な絵画で、一見するとほとんど1色で何も書かれていないと感じる絵もあります。
彼の絵は瞑想や詩、哲学といったものを好み、そこからこの絵画が生まれました。
このロスコの晩年の絵画は現在は千葉の川村記念美術館で見ることができます。
・モンドリアン
モンドリアンは縦横の直角の直線的な線と三原色の色面で構成された絵がとても有名です。
初期のころは全く異なった絵を描いていたのですが、それが徐々に抽象化し、シンプルになっていきました。
この絵は現在は多くのグッズに転用されたり、オマージュ作品が生まれているのを目にしますね。
・ジャクソンポロック
ジャクソンポロックは絵の具を垂らした絵画で有名です。
絵画は手で描くものという常識を覆し、偶発的な感じで絵の具を落としたりはじいたりして描いています。
ドリッピングと呼ばれるこの技法は今でこそ珍しくはないですが、当時はこれが絵画として描かれたのは初めてでした。
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