美術を目指す若者を描いた漫画ブルーピリオド!
こんばんは!こざかいです!
今回は2020年のマンガ大賞にも選ばれたブルーピリオドという漫画について解説していきます!
ブルーピリオドでは、不良少年がある日を境に美術に目覚め、美大では最難関の東京芸術大学を目指し、アーティストの道に突き進んでいく物語です。
僕も美大生だったので、実際に現実と比較してこの漫画の内容を解説していきます!
※なお、この記事はネタバレを含みます。
そのため、気になる方は先に読んでいただくことをお勧めします。
ブルーピリオドのおすすめポイント
僕は実際に美大に通っていたこともあるので、とても共感ポイントが多く、めっちゃおすすめの漫画です!
ここからはどのへんがおすすめなのかをご紹介いたします!
内容はめちゃくちゃリアル
ブルーピリオドはとても内容がリアルな漫画です。
この漫画で描かれている美大受験の主人公の苦悩というのは実際に本当によくあるんです。
僕も同じ美大生としてこの漫画を読んだとき、「あぁこれあるある、、!」と思いながら読んでました(笑)
美大受験にしかない苦悩ってあるんですよ。
例えば、どれだけ頑張って描いても、必ずうまくなるわけでは無いこと。
「いい絵」は上手い絵ではないことが分からず悩んだりなどなど!
僕の友達も同じ感想だったので、やっぱりみんなそうなんだと思います。
この漫画をオススメしたい一番の人は、自分のやりたいことに本気になりたい人です!
この漫画は自分のやりたいことに目覚めてひたすら突き進んでいく熱い漫画なので、ぜひ読んでほしい!
あと、「美大受験って絵を描くだけだから簡単でしょ?」って思っている人にはぜひ読んでほしいですね。(笑)
そんなに楽で簡単なものじゃないから!
この漫画を読めばわかります!
他にも、これから美大受験をする人、子どもが美大受験をする人にもおすすめ!
登場人物が魅力的
この漫画の登場人物は魅力的ですね。
登場人物はみんな実際にいそうな人の範囲でその心情が丁寧に描かれています。
他の美術系の漫画でありがちなのが、実際にありえないぐらいの天才過ぎる人が描かれることで、「こんな人いないよ!(笑)」って思うことがあります。
こうなると、リアルさはなくなっていきますね。
※ちなみに他のリアルな漫画だと、「左利きのエレン」です。こっちもおすすめ!
一巻の登場人物紹介
ここからは1巻の主な登場人物を紹介していきます!
主人公 矢口八虎
この物語の主人公です。
彼は数人の不良とつるむ優等生として描かれています。
不良ですが性格はよく、人当たりがいいのでクラスメイトからも人気があります。
成績も学年4位と優秀です。
ここで大きなポイントは彼の性格が完全に「合理主義」だということですね。
クラスの誰からも人気があるのは、八方美人でその方が「合理的」であると思って、そう振舞っている結果なんです。
アートは「合理的ではない」
この主人公は後に美術を目指しますが、実はアートって「合理的」とは真逆の考え方なんですよね。
そもそもアートの道に進むこと自体が一般的に「合理的」ではなくて、それはそれで生きていけるかわからない不安が常に付きまとうからです。
実際に絵の美術の道を目指しながら美大に入っても、卒業してアーティストになる人は全体の3%ぐらいです。
大学卒業の時でそのぐらいなのでその後、例えば10年ぐらいたつと続けている人はそこからさらに減っていきます。
また、作品の制作も合理的ではありません。
作る作品も人の生活の必需品ではないので、ある意味無くてもいいものですよね。(そんなことはないですが)
別に美術の作品が無くても人は生きていけます。
美術という「自己表現」に目覚める
一方で美術の作品を作るということは、「自己表現」です。
自分が美しいと思ったもの。自分が表現したいもの。自分が言いたいこと。
常に「自分がどうしたいのか」なんです。
ですが主人公は初め、常に「周りに合わせる」ことを意識した八方美人でした。
いかに周りに合わせ、波風立たせず円滑に物事を進めるかです。
でもある意味これって「空気」ですよね。
自己主張しないので、「自分」が無いんです。
なので、初め彼は美術を目指すには全く向かないタイプでした。
そんな彼が自分を表現することに徐々に目覚めていくシーンがこのブルーピリオドの醍醐味です。
佐伯先生(美術の先生)
八虎の通う高校の美術の先生。
めっちゃ生徒思いの優しい先生です。
生徒それぞれの性格や気持ちを正確に把握していて、適切なアドバイスをくれます。
八虎にも美術の進む道に迷っているときに後押しをしてくれたり、絵について悩んでいるときにフォローをしてくれます。
こんな先生なかなかいないんじゃないかな。
鮎川龍二
八虎の同級生の美術部員。容姿端麗な女装男子。
なにかと気にかけてくれている友達です。
八虎と一緒に美大を目指すことになりますが、彼自身は悩みが多いようです。
1巻ではまだそこまでどのような人物か深くかかわりませんが、今後彼の悩みを知ることになります。
森先輩
美術部員の3年生。 武蔵野美術大学の推薦入試を控えている。
八虎が美術を目指す最初のきっかけを作った先輩。
森先輩が美術部で描いた人物画が八虎の心を揺り動かした。
森先輩めっちゃいいひと、、!
八虎の両親
・母
経済的な事情や、安定志向から八虎には”普通”の大学に進んで欲しいと考えている。
・父
野球好き。子どもには好きなことををさせて、人が頑張る姿を応援する性格。
あまり出てきませんが八虎の両親の性格もこの漫画では重要かなと思います。
実際、美大受験をするときのハードルが「いかに親を説得するか」なんです。
なぜなら、作中でも描かれますが美大は学費が高いのと、将来性がやや不安であるからです。
事実、現実には両親の意見によって美大をあきらめてしまう人も少なからずいます。
親心としては、まともな大学に行っていい会社に就職して安定した生活を送ってほしいと思う人が多いです。
名シーンを実際に現実と比較して解説してみた
ここからは実際に1巻ごとに内容をダイジェストに取り上げて解説していきます!
なお、ネタバレを多く含むので注意です。
第1巻の主な流れ
・「合理的」な性格の八虎が美術の佐伯先生や美術部員の森先輩に触発されて絵を描くことに目覚める。
・初めてデッサンを学び、圧倒的な努力量で上達。その後、予備校の冬期講習で天才の「高橋世田介」に出会う。
この第1巻では前半が八虎が絵に目覚めるシーンで、後半がデッサンを学ぶシーンに分かれる構成になっています。
1巻の名場面をダイジェストでご紹介します!
「みんなが褒めるたびに虚しくなる」
このシーンは初めの八虎の性格をよく表している場面です。
勉強や人付き合いを合理的に行っていることを物語っていますね。
いかに効率よく、効果的に進め、結果を出すかを考えている感じです。
しかし、周りが褒めてくれるのにも関わらず、八虎自身は虚しさを覚えています。
この虚しさの原因は自分の”これがやりたい”という主体性の無さでした。
このシーンの後で、「美術」に目覚めるようになっていきます。
「他人の努力の結果で酒飲むなよ」
僕は個人的にこのシーンが一番胸に刺さりました。
「他人の努力の結果で酒飲むなよ」
「お前のことじゃないだろ」
他の人が本気で頑張ってきたことを応援している自分に対して、自分はどうなんだ?という気持ちからのセリフです。
八虎自身がすでに好きなことに対して本気で頑張っていたのなら、この言葉は出ずに素直に応援でしたのかもしれません。
本気で頑張っている人を応援できる人は本気で頑張っていた人でしか本当の意味で、応援できないと思います。
「1枚1枚妥協せず描くことがどんなに難しいことか、、、!」
「1枚1枚妥協せず描くことがどんなに難しいことか、、、!」
地味ですが、僕の中では名ゼリフです。
作品に気持ちが入らなければ、「これでいいか」という妥協が出てきてしまうんです。
特にデッサンは好きに絵を描くわけではなく、訓練として行うのでどうしても最初はつまらないと思ってしまうことも多いです。
それでも妥協せずに描き切るというのはすごいことなんです、このポテンシャルは美大に合格するためには必須です。
あと、その下のコマの「予備校の中で下から5番目だったよ」っていうのもショックな言葉です。
この子は森先輩で、美術部の3年生です。絵は美術部の中では一番上手でした。
その森先輩は八虎が尊敬し目標のような人でしたが、その森先輩でさえ予備校では下から5番目。
ここで八虎は美大受験の難しさを知ります。
まとめ!
ブルーピリオドは美大を目指す高校生を描いた熱い漫画です!
そこには美大特有の絵を描くことの難しさや、葛藤が本当にリアルな描写がされています。
なので、これから美大受験をするにとってはこの漫画は助けにもなるし、本気で好きなことに取り組みたいと思っている方にお勧めの本です!
ちなみにこちらのサイトでも読むことが出来るので、気になる方はぜひ!
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