マチエールって何?
マチエールはフランス語のマテリアルで一般的には物質や品質、素材などを意味します。
美術の世界ではマチエールは(物質的な)絵肌の質感や風合いのことを指します。
なぜマチエールを作るのか
マチエールは絵に必要なとても重要な要素です。
マチエールによって絵の表現がぐっと広がります。
例えば、力強い雰囲気を出したかったら盛り上げたマチエールを作ると効果的ですし、
逆に静かな雰囲気を出したければなるべく平滑にしたほうがいいかなとか
絵の内容に合わせて効果的なマチエールがあります。
絵の内容とマチエールとがうまくマッチすることで、作品の存在感や雰囲気に深みが出てきますね。
マチエールは絵の写真では伝わらないのですが、絵を実際に見たときにダイレクトに感じるので、作品の存在感を表現するとても重要な要素です。
いろいろなマチエールの作り方
マチエールは表現方法が無限大にあり、人によってもいろんなやり方をしています。
その中でいくつかの例を紹介させていただきます。

個性が表れやすく、マチエールの感じからどの作家が描いた絵か判断できることも多いです。
・絵の具を盛り上げてごつごつな感じを出す
・下地に砂やティッシュを混ぜてあばたにする
・絵の具で下地を作った後にナイフで削る
・下地剤を塗った後に紙やすりで磨いて平滑な画面を作る
・下地剤を塗った後に、乾く前にアルミホイルを押し付けて凹凸を作る
などなど
下地だけでもいろいろあることがわかりますよね。
ほかの方法については自分で試してみてください。
また、絵の具で絵を描くときにもその描き方でマチエールは変わります。
絵具を薄めずに使えば凹凸が出てきますし、
逆によく薄めれば平滑な絵になっていきます。
ちなみにマチエールづくりには専用のナイフがあると便利です。
筆を使うよりもやりやすいです。
アクリル絵の具を使うと表現の幅が広がる
油絵の下地はアクリル絵の具をつかうことができます(その逆はできません)
アクリル絵の具のほうが下地材になるジェッソやメディウム類が豊富で、乾燥も速く定着力が高いので下地に適しています。
例えば絵の具に混ぜられるジェッソは、
厚く盛り上げられるモデリングペーストや、
艶があり、盛り上げられるヘビーグロスメディウム、
マットな質感を出せるマットメディウムなど
数十種類のメディウムがあります。
詳しい種類についてはこちらで解説しています。
メディウム類を使いこなせると絵を描くのがかなり楽しくなるので、ぜひ使ってみてください!
自分だけの下地を作ってみましょう。
かなり凹凸のあるマチエールの作り方
かなり凹凸のあるマチエールを作るには、アクリル絵の具とモデリングペーストを使うのが最も一般的です。
絵具だけで盛り上げようとすると乾燥時にひび割れてしまうので、モデリングペーストを使います。
モデリングペーストは柔軟性があり、厚く塗ってもひび割れません。
ケーキ職人のようにナイフなどを使って塗っていきましょう。
モデリングペーストに近いもので、ジェルメディウム類も使えます。
こちらはモデリングペーストほどではありませんが、盛り上げることができ、おまけに艶も出せます。
限りなく平らにしたいとき
平らな下地を作るにはジェッソなどの下地をまず厚めに塗ります。
その後、紙やすり(#1000~#800ぐらい)を使って平らにし、その後水で薄めたジェッソを塗りなおします。
そしてまた紙やすりをかけるのを繰り返し、平らにしていきます。
また、絵の具で描くときも薄めてから塗っていきましょう。
絵が大きい場合、手でやするのはかなり面倒な場合があります。
その時はサンダーを使うと便利。
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