立体感や光の表現には明中暗反射光の描きわけが重要
立体感を表すには「明・中・暗・反射光」+影までの流れを作ってあげることで生まれてきます。
どれかだけではだめで、全体を含めて立体感の要素です。
光源の場所や見る場所によってこれらの位置は変わってくるので注意しましょう。
明部
明部は光が多く当たる部分。
基本的にはモチーフの固有色+白又はイエロー系の暖色を加えることで表現します。
彩度は淡く、固有色に白を混ぜた色になります
鉛筆デッサンの場合は硬めの鉛筆で立てて描写すると明部の感じが出ます。
重要なのはハイライトで、これはライトが反射して白くなる部分のこと。
ハイライトの描き方でモチーフの質感をかき分けることができます。
くっきりしているほど、ツルツルな素材(金属やプラスチック)になり、ぼんやりしているほどマットな質(布や段ボールなど)になります。
中部
中部は光が当たるところと陰の間の部分で、もっとも質感と固有色が現れる場所。
光と陰の中間なのでちょっとした凹凸でも陰影が出て、凸凹が分かりやすくなる部分です。
また、固有色も強くなるので、着彩をする場合にはそのモチーフの中で一番鮮やかな色を置いてあげましょう。
中部は最もモチーフらしさが出る場所なので、丁寧に書いてあげましょう。
暗部
暗部は光が当たらない場所のこと。
物の中で暗い場所でもあります。
暗部は明部との差をつけることが大切で、印象としては湿ったような感じの雰囲気になります。
鉛筆デッサンの場合には、ティッシュやガーゼでこすって、しっとりとした質感を作ると暗部らしくなります。
暗部の中の形は描きにくい場合も多く(逆光の場合など)その場合は反射光をうまく使って描いてあげる必要があります。
彩度は低くて明度が暗く、固有色に黒を混ぜた色になります
反射光
反射光とは、暗部の中でも間接的に光を受けている場所のことを指します。
主にモチーフの周囲(回り込み)や、床近くに現れます。
床や周囲のものに反射した光が当たる部分。
周囲のものの色によって反射してくる光の量も変わり、白色では強く、逆に黒のものからは反射光は来ないことを覚えておきましょう。
実際のモチーフには反射光はあまり見られないこともありますが、絵作りとして実物より強めにつけてあげると良いです。
反射光は意識しないとみられない部分でもあるので、実際に試してみることがおすすめ。
身近なものに白い紙をかざしてあげると反射光を観察できます。
反射光は固有色にグレーを混ぜた色になり、周囲のものの色の影響も受けます。
(白いボールに青い紙をかざすと青くなります。)
回り込みについて
モチーフの回り込み部分も反射光と同じような扱いになることが多いです。
回り込みはモチーフの中で奥になる部分なので、遠近感のために色が薄くなりますね。
影
影はモチーフの一部と考えていいくらい大切な部分です。
影によって床の平面感、光の方向と強さ、モチーフの立体感が表現できるため。
ガラスやアクリルなどの透明なものではその透明感も表現が可能。
モチーフと同じくらい丁寧に書いてあげましょう。
・影の形
影によって光源、光の状況を表現できます。
光源の位置が斜めからだと影が伸びますし、真上からだと影はほとんど伸びません。
また、複数のモチーフの影の伸びる方向の関係によって光源の距離が分かります。
影は光源を表す最も重要な要素。
光源からモチーフが近いほど形もくっきりし、遠くに行くとぼやけていったり、
光源が小さく強い光ほどくっきりしていきます。
そのため、影を丁寧に描くことで目の前のモチーフが蛍光灯の室内なのか、スポットライトが当たっているのかなどを説明してくれます。
・影と机の平面感
影を正確に描くと机の平面感も生まれてきます。
特に複数モチーフの静物画ではとても重要。
モチーフそれぞれがどの方向に影が伸びるのかを合わせ、奥のモチーフの影を薄くして空間を出し、パース(目線の高さに近くなるほど影も細くなる)を合わせます。
これがうまくいくと、画面の奥まで気持ちよく空間が流れ、机の平面感が広がっているように感じます。
影の形に整合性がないと、床が不安定に見えてしまうので注意しましょう。
特に複数モチーフの場合は表れやすいので注意です。
モチーフを描かずとも、影だけで光と空間、床の平面性を表すことができます。
モチーフその物ごとの差よりも、それぞれの影の差のほうが出やすいです。
なので、モチーフを描くよりも影の差を描き分けた方が空間や光を表現できます。
補足 明度と彩度の関係まとめ
明部~反射光までの明度と彩度の関係はざっくりこのような感じになります。
明部 | 中部 | 暗部 | 反射光 | |
明度 | 明るい | 普通 | 暗い | やや暗い |
彩度 | すこし弱い | 強い | 弱い | 弱い |
質感(調子) | カサカサ | ざらざら | しっとり | しっとり |
絵の具でこれを理解するには赤、白、黒だけをつかって描いてみるなどして理解してみましょう。
絵の具だとこの差は出しやすいですが、鉛筆の場合はモノクロなので、明暗だけではなくタッチや調子によっても描き分ける必要があります。
デッサンを上達させるための関連記事はこちら↓
最後にもっとデッサンをうまくなりたい人のためにこのブログのほかの記事を紹介します。
ぜひ合わせて参考にしてみてください、、、!
コメント