美大受験のデッサンのコツについて解説!
今回は美大受験のデッサンのコツについて簡単に解説していきます。
これから美大受験をする人や、受験生でデッサンがもっとうまくなりたい人向けに簡単なコツや気を付けるポイントについてまとめてみました。
僕自身は東京藝大を目指して1年浪人し、武蔵野美術大学に入学しましたが、その時の経験を踏まえて解説していきます。
予備校時代は結構辛かったり苦労したので、誰かの役に立てればと思い、今回記事にしておきます。
是非役に立てれば幸いです。
![こざかい](https://kozakaiart.com/wp-content/uploads/2021/03/IMG_3380.jpg)
デッサンの注意事項のチェックとして使ってください。
ちなみに僕のおすすめのデッサンの画材については下記にまとめています↓
デッサンを描くときに気を付けるポイント
デッサンを描くときに気を付けるポイントについて簡単にまとめてみました。
それぞれ解説していきます。
・構図
・かたち
・印象が似てるか
・立体感
・光
・空間
・量感
・質感
・固有色
・その他 コンセプトや感動など
・構図
まずデッサンを描くときに大切になるのが構図です。
構図が悪いと、どんなに頑張って絵を描いても微妙な絵になるので注意。
デスケールという窓のような道具があり、最初はこれ越しに覗いて構図をよく確認しましょう。
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デスケールは描く紙の比率と合ったものを用意しましょう!
デッサンの構図取りですが、特別な意図が無い場合は基本的にモチーフはなるべく大きく入れます。
この時により大きく入るように横か縦の構図かを決めましょう。
ここでポイントなのが、モチーフを画面の端で切る場合です。
状況にもよりますが、基本的にはモチーフの全体像が想像できる範囲内で切ることがポイントになります。
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モチーフを小さく入れる引きの構図を使えるのは油絵科の試験ぐらいですね。
基本的にはより目立つようにできる限り大きく入れます。
また、モチーフの端がちょうど画面の端と重なるような構図は避けます。
詳しくはこちらの記事で解説しているので参考にしてみてください↓
・かたち
かたちを取るのはデッサンの基本ですが最も1番大事なポイント。
モチーフごとに形を取るときのポイントは変わってきます。
人によって得意なモチーフ、苦手なモチーフが出てきますが、試験では何が出るかわからないので、一通り描けるようになっておきましょう。
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デッサンを描き始めたての時の絵は、今後の作家としての作品制作をするうえで、得意な素材や技法を見つけるのに役立ちます。
工芸科の場合、得意なモチーフ(金属やガラス、布など)=その素材を使っている分野に進むといいです。
・植物系(野菜、果物、花)
自然物なので、それぞれいろんな形があり、形はそこまでシビアでは無い。
植物ごとに形の特徴があるので、それだけは必ず押さえる事。
(例えば、リンゴは上から見るとなんとなく5角形の形をしているなど)
生き生きとしたように見えるかたちを描くことが大切。
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僕は結構自然物を描くのが苦手でした。
苦手な人は正確な形よりも情報をまとめて、絵で見たときにきれいに見えるかで描いていくといいです。
また、鉛筆のタッチが見えすぎると自然物っぽくなくなることもあるので注意
・工業製品
かたちはかなりシビア。
どのモチーフも全く同じ形で、かたちの狂いがばれやすいのでよく注意すること。
縦横の比率の違い、球体や楕円形、ロゴのレンダリング、パースなどに注意
画面を遠くに離したり、逆さまにしてみたりしてよく確認しましょう。
自分1人だと形の狂いがわからないことも多いので、人に見てもらうといいです。
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苦手な人は最初丁寧に補助線を引いて形どりに時間をかけるしかありません。
・人体
人体や手などは骨格の形がかなり重要。
人によって顔の形、手の形は違うが、骨格と骨は同じ。
基本的な人体の骨格は事前に解剖学の本などを読んで把握しておきましょう。
骨の形と、そこに張り付く筋肉がどのようについているかを描いて暗記すること。
形が狂っているとばれやすいモチーフのひとつ
関節が外れたように見えないようにする事
実際の形がどうしても不自然に見える場合はある程度絵の中で修正できるようにしておくと◎
自画像や実際のモデルさんを使ったデッサンの場合、顔は似てなくてもある程度は大丈夫ですが、骨格は抑えておくこと※実物より美人めに描くといいです。
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石膏像も人体の筋肉や骨格があるので、意識しましょう。(特に顔と首)
僕は描いているときに必ず自分の体を触りながら、どこにどのように骨と筋肉がついているのかを確認しながら描いていました。
解剖学の本なども読んで絵で写したりして勉強しておきましょう。
形の取り方を上達させるにはひたすらクロッキーをして練習しましょう。
デッサンの初心者ほど、形さえ取れればぐっと絵のクオリティが上がりやすく、伸びしろが多い部分です。
クロッキーの描き方についてはこちらで動画付きで解説しています。
隙間時間や、家で毎日描いておきましょう。
・印象が似ているか
特に石膏像の顔がそうですが、印象を合わせる事も重要。
かたちが多少狂っていても、印象が似ているとカバーできます。
印象とは、実物のものを見なくても言える特徴のこと。
例えばリンゴなら、上から見るとなんとなく5角形をしている、お尻は少しすぼんでいる、ごろんとしたかたちなど。
特に石膏像の顔は印象が違うとバレやすく、印象が違うと特に浪人生では嫌われやすい絵になるので注意。
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石膏像の顔が似ないのは浪人生の陥りやすい罠ですね。
かたちや印象を合わせる訓練としてはクロッキーをたくさんこなすことが大切。
形と印象が合っていると高校生での現役合格もグッと近づきます。
かたちの修正はデッサンの最初だけではなく、終わりまでずっと修正し続けることが大切。
自分の絵は常にかたちが狂っていると思いながら描き進めましょう。
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印象の違うデッサンは他がどんなによくてもよくないデッサンです。
思い切って修正できる人ほど上達します。
・立体感
立体感を出すには2つのものがあります。
・光の明、中、暗、反射光の流れを作る
・形のパース
この2つが合わさることによって立体感が生まれます。
明部、中間、暗部、反射光の違いについての違いをよく知り、それぞれ描き分けられるようにしましょう。
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あと、意外と重要なのが床に落ちる影です。
影も重要なモチーフの一つなので気を抜かないこと。
影だけでモチーフの立体感を表現できたりもします。
・光
光はモチーフの明、中、暗、反射光、影を丁寧に描くことで生まれます。
ぞんざいに描きがちですが、床に落ちる影を丁寧に描いてあげるだけでもかなり光は出てきます。
光の方向は真正面(全光)と真裏(逆光)はかなり描きづらいのでなるべく避けること。
状況によっては自分の絵の中で光の方向を自由に変えることができるようになること。
実際の試験では蛍光灯でほとんど影が出なかったり、全光、真逆光などどんな状況になるかわかりません。
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僕は光を描くのが結構得意だったのですが、その時に大切にしていたのが影です。
デッサンでは一番影を描きこんでいました。
特に逆光は影がとても重要です。
・空間
空間とは、ものの奥行きと、もの同士の前後感のこと。
空間感を出す方法としては、遠近法を用います。
デッサンにおいては下記の遠近法を用いることが多いです。
・線遠近法、斜投遠近法(パースを正確に描く、遠くにあるものほど小さくなるなど)
・空気遠近法(奥に行くほど色を薄くする)
・上下遠近法(モチーフの床の設置点の位置による奥行き)
・重畳遠近法(モチーフ同士の重なりによって生まれる前後感)
・消失遠近法(手前のモチーフほど細部を描く)
これらがうまく噛み合うことによって空間が生まれてきます。
一つのモチーフの中でも、手前の部分と奥の部分では前後感があり、空間が生まれています。
空気遠近法に関しては、白いもやの中にモチーフがあるイメージをするとわかりやすいです。
少しオーバーめに遠近感をつけてあげましょう。
空間を描くコツは、デッサンの画面をドラえもんのどこでもドアのような窓をイメージしてみてください。
窓から手を入れてモチーフを描いているという意識で描くと空間が出てくるかも。
実は目に見えない空気もモチーフの中の一つ。
空間を描くことは空気を描くことにつながります。
・量感
量感は例えばリンゴは手にもったときにゴロンとしているなとか、
重さはこれぐらいかなとかそういう感じをデッサンで表現できるといいですね。
立体感を丁寧に追ったり、重そうなものはタッチを強めたり、床との設置点をよく観察したりなど量感を表現できる方法はいくつかあります。
彫刻科とかではこの量感を追うことはとても大事。
・質感
質感を出すポイント
・鉛筆や消しゴムの使い方を工夫する
・モチーフの質感が出やすいポイントを描く
質感は鉛筆と練りケシ、消しゴムをうまく使って表現します。
金属は消しゴムと4B以上の鉛筆を使ってコントラストを強くキラキラさせたり、
ガラスは奥に透けて見えるものを丁寧に描いたり、キラキラする感じをいたり、
ゴワゴワした布などは鉛筆の細かいタッチを重ねたり、練り消しを使ってうまくムラをつくったりします。
また、モチーフごとに質感が出やすいポイントがあるのでそれも抑えておきます。
例えば、段ボールは断面や折れた跡、ガラス瓶は口や蓋の部分など。
モチーフの輪郭にも質感は表れやすいので丁寧に描きましょう。
質感の表現はデッサンの楽しい要素なので、普通に数をこなせば自然に上達していきます。
・固有色
特に複数のモチーフを組み合わせる静物画では、固有色をしっかりと出すことはとても大切。
ぱっと見で固有色がはっきりわかるように心がけましょう。
静物画を描く前に一度スマホのカメラをモノクロにして写真を撮り、固有色とデッサンの明暗のイメージがあっているか確認するといいです。
固有色は光の明部、中間色、暗部、反射光のうち、中間色にはっきりと差が現れます。
・その他
上記の基本的なデッサンのことができたらバッチリですが、最後に少し付け加えます。
それは作品の意図や感動などです。
例えば、光をきれいに見せたい、物と物との抜けの空間がきれい、臨場感を出したい、主役のモチーフを引き立たせたいなど。
受験のデッサンといっても、一つの絵画、一つの作品として考えることが大切。
ずっとデッサンを描いているとどうしてもマンネリ化しがちですが、モチーフの感動を絵で伝えるという意思を持って描くことがとても大切です。
もちろん、最初に紹介している基礎ができている前提の話なので、基礎を怠らないようにしましょう。
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油絵科ではこの絵作りだ最重要視されますが、そのほかの科ではこれまでに紹介した基礎のほうを重要視されます。
自分の受ける学科に求められる部分をのばしていきましょう。
まとめ
長々と書きましたが、ぜひ今回の記事が受験の役に少しでもたてばうれしいです。
大変だとは思いますが、本当に大変だとは思いますが(2回目)いつか合格した時に、あの時があったからと思えるとはずなので、頑張ってください。
応援しています。
また、こちらも受験には参考になると思うので、ぜひ読んでもらえるとうれしいです!
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