絵画の遠近法の種類をまとめました!
今回は絵画における遠近法の種類をまとめました。
遠近法を使うことで、1枚の平面の絵の中に奥行きと空間を作り出すことができます。
一言に遠近法と言っても、種類は下記のように結構多いです。
実際に絵を描くときにはこれらを複数組み合わせて描いていくことになります。
ここからはひとつずつ具体的に解説していきます。
重畳遠近法
これは一番シンプルな遠近法で、物と物とを重ねることで生み出す遠近法。
重なって上にあるものが手前に出てきます。
重なってさえいればいいので、絵画では具象画だけでなく抽象画でもよく見られます。
遠近感は薄めですが、よく使われますね。
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上下遠近法
上下遠近法とは、地面にものが置いてあるときに上にあるものほど(水平線に近くなるほど)遠くに見えるという遠近法のことです。
例えば近くと遠くに生えた木では、遠くの木のほうが水平線に近くなり、画面上では上の方に位置してきます。
主に風景でよく見られますね。
逆に地上ではなく空の場合はこれが逆になります。
例えば雲だと、下に行くほど(地平線に近づくほど)遠くになります。
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大小遠近法
大小遠近法は近くにあるものほど大きく、遠くにあるものほど小さく見える遠近法のこと。
同じ大きさのものでは遠くに行くほど小さくなりますよね。
この遠近法も理解しやすく、よく使われるものだと思います。
ここまでの遠近法は比較的誰でもわかりやすいものだと思います。
ですが、ここから紹介するものは少し専門的なものになってきます。
これを取得すると一気にプロっぽい絵画になっていくので、ぜひ習得していきましょう!
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空気遠近法
空気遠近法は遠くのものほどかすんでいく(色が淡くなっていく)遠近法です。
これは例えば霧が深いところに自分がいたとして、遠くのものほど霧によって白っぽくなっていきますよね。
そんな感じをイメージすればOKです。
実際に私たちの生活で目にする風景はそこまで極端な空気遠近法は見られませんが、絵画の世界ではこれをあえて誇張させて遠近感を作っていきます。
特に鉛筆のデッサンでは多用されますね。
鉛筆デッサンでは色が使えず、鉛筆の濃淡で表現するので、かなり大げさに空気遠近法が使われます。
かなり奥行きを感じる表現なので、ぜひ習得しておきたい遠近法です。
上記の絵画では奥にある船ほど白っぽくなっていき、奥行き感が生まれています。
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色彩遠近法
色彩遠近法は先ほどの空気遠近法と似ており、こちらは色相が変化して起きる遠近法になっています。
例えば、晴れた日に遠くの山を見ると少し青っぽくなっているのを見かけたことはないでしょうか。
それが色彩遠近法です。
これは状況によっても結構変わって、夕方だったら赤黒っぽく、曇りだったらグレーっぽくなっていきます。
周囲の色(空や空気)に色が溶け込んでいくようなイメージです。
上記の図では、黄色いオレンジの三角が徐々に背景の青に寄っていき、色相が緑に近づいています。
空気遠近法と併用することで、より効果的に遠近感を表現できます。
上記の絵画では、奥の山がかなり青っぽくなっていますね。
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消失遠近法
消失遠近法は遠くのものほどぼやけて見えて、近くのものほどはっきりと細かい部分が見える差を使った遠近法のこと。
カメラのピント合わせをイメージするとわかりやすいです。
絵画の場合は手前にあるものほど細かく丁寧に描いてあげることで遠近感を作りだせます。
鉛筆デッサンとかだと、手前のものは鉛筆をとがらせてめちゃくちゃ描き込んだりすると手前に見えてきます。
また、この時に明暗のコントラストも強くしてあげるとより遠近感が出てきます。
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幾何学遠近法(透視図法)
幾何学遠近法とは、透視図法やパースとも呼ばれるもので、遠くのものほど消失点に近づいていく遠近法です。
よく建築の図面などでも使われています。
絵画ではかなり基礎となる遠近法で、これを理解していないとものの形(特に工業製品)を描くことができません。
美大受験ではこの透視図法を理解していないことで起こる形の狂いをよく「パースが狂ってる」と言い、多くの受験生を悩ませる関門でもあります。
特に立方体を描いたときに、パースが狂っていると面が正方形ではなくなったり、直方体になったりしてしまいます。
かなりシビアなのでよく訓練する必要がありますね。
透視図法にもいくつか種類があり、消失点の数で1点透視図法、2点透視図法、3点透視図法があります。
透視図法は絵の構図としては浮世絵でよく使われていました。
定規で作図することができるので、理解のために一度自分で作図することをおすすめします。
詳しくはこちらのサイトに記載されているのでぜひ参考にしてみてください。
→イラスト・漫画描き方ナビhttps://www.clipstudio.net/oekaki/archives/152885
パースは極端につけすぎると嘘くさくなりますが、適度につけてあげると自然なものの形になります。
逆にパースの付け方が逆になってしまうと一気に不自然な形に見えてしまいます。
上記の葛飾北斎の浮世絵は1点透視が使われています。
詳しくはこちらで解説しています↓
もっと詳しく遠近法を知る
今回は遠近法の種類についてザックリと説明しましたが、実際はもっと奥が深いです。
より深く知るには下記の本がおすすめ。
これらを知ることでより完成度のある絵を描くことができるのでぜひ参考にしてみてください。
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