絵の上達のステップを学ぼう
絵を上達させたいけど何をしていいかわからない!
そんな人のために今回は”堅実”に絵を上達するためのステップを解説していきます。
多くの人が絵はかいていればうまくなると思いがちですが、実際は段階を踏んで学んだ方が速く上達します。
美術予備校や美大で学ぶレベルのことをこのブログに書いていくので、ぜひ参考にしてみて下さい。
絵の上達の方法を0から解説していきます、、!
0描く前に目的や目標を考えよう
まず絵を描き始める前に、ざっくりとした目的や目標を考えると良いです。
これはモチベーションを上げるためで、なんでもOK。
将来美大に行きたい!とか、絵を売っていきたい!とか、普段さらさらっと描いて周りにちやほやされたい!とか。
欲望丸出しでも良いので決めておきましょう。
ちなみに僕が絵を描き始めたのは美大受験のためでしたね。
あとは将来的にクリエイティブな仕事に就きたい!と思って始めました。
人に褒められたのがうれしくて描いているって人は多いですね。
最初のきっかけは些細なものが多いです。
1描きたい絵を決める
次に描きたい絵(の画風)を決めましょう。
一口に絵と言っても、硬派なリアルな油絵なのか、それとも抽象画なのか、漫画的なのか、グラフィック的なイラストなのか幅広い種類があります。
これらはそれぞれ必要な画材、スキル、上達法が違うので、最初に決めておきましょう。
スポーツでいうところのサッカーと野球、卓球とかぐらいのレベルで違います。
リアルな油絵は描けるけど、漫画は描けなかったり、その逆もあったりで、本当にスキルが異なります。
なので、自分の描きたい絵をもっておくことは重要。
もしなければ、とりあえず鉛筆のデッサンからでOK。
本屋さんとかで画集を探して、自分の好きな絵や作家さんを探しましょう、、!
2画材を決める
次に画材を決めます。
画材はピンキリで、メーカーによって性能は大きく異なります。
画材店に行っても、メーカーごとの特徴はほぼわからないので、ネットで参考にしてから購入するのがおすすめ。
僕のブログでも画材を解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
画材の選び方に関しては、画家が書いた個人のブログを参考にするのがおすすめです。
油絵具
アクリル絵の具
色鉛筆
パステル・クレヨン
デッサン(鉛筆、木炭)
各記事の中に、おすすめの画材の記事が記載されています。
ぜひ参考にしてみてください、、!
3まずは何枚か描いてみる
次にまずは何枚か絵を描いてみましょう。
これは絵を描くことになれる目的で行います。
油絵でもペン画でも何でもいいので、とりあえず絵を描いてウォーミングアップを行いましょう。
ノートの端っこにイラストを描くとかでいいですよ
いきなりすごい絵を描こうとすると理想と現実とのギャップで苦しむので、最初は気楽に描いてみましょう。
4カリキュラム
ここからは本格的なカリキュラムを紹介。
主に美術予備校で学ぶことをベースに解説していきます。
ここからはがっつり上達法について解説していきます。
予備校で教わるレベルなので、参考になると思います。
・鉛筆デッサン
まずどの絵を描くにしても基礎になるのが鉛筆のデッサン。
美大の受験でも、ほぼどの学科でも共通で鉛筆デッサンの試験があります。
デッサンは大抵の絵の基礎になり、デッサンができれば比較的どんな絵でも描けるようになります。
鉛筆デッサンでの目標は見たものを正確に描けるようになる観察力をつけること。
これができれば、頭の中のイメージをそのまま絵に出力できる精度が上がっていくのでとても大切な訓練法になります。
主な要点は下記の通りです。
・形の取り方(正確な形をとる、パースの付け方など)
・立体感
→立体感は明・中・暗・反射光のグラデーションや、物の形に沿ったタッチによって表現されます。
・光
→光の表現はモチーフの明部から暗部にかけてのグラデーションや、反射光、陰影によって表現されます。
・空間
→空間はモチーフ以外の部分。いわゆる空気を描くということ。
モチーフの回り込みや遠近感をうまくつけることによって、空間を描くことが可能。
・量感
→量感はモチーフの重さの感じのこと。
例えばティッシュの紙は軽く見えるように、ジャガイモは重く見えるようになど。
最初は表現が難しいので、慣れてきたら気にするようにしよう
・質感
→素材ごとのざらざら、ふわふわとした質感を表現する。
鉛筆や練り消しゴムの使い方を工夫して描こう!
・固有色
→固有色はものの本来の色のこと。固有色は中間色(光と陰の間の部分)に強く鮮やかに出てくる
モチーフを絵に描くことはこれらの要素が組み合わされて表現されています。
目に見える形を頑張って描くことはもちろん、目に見えないもの(空間や奥行き、光)なども表現できるようになることが大切。
具体的に描くもののステップ
鉛筆デッサンを始めるときは下記のステップでモチーフを描くと理解がしやすくなります。
1立方体、球体などの基礎形態
→形の取り方、立体感などを学ぶ訓練。地味でめんどくさいが大切
2リンゴ、電球などの単体での静物
→まずは一つのものを集中して描く。上記に加えて質感、色を学ぶ
3複数を組み合わせた静物
→ものとものとの関係性を学ぶ。特に空間、奥行きなどを学ぶ
4人物、動物
→印象の合わせ方や骨格を学ぶ
おもにざっとこんな感じです。
1から順に行っていきましょう。
1立方体、球体などの基礎形態
まずは基礎として真っ白なシンプルな立方体や球体、円柱を描くところから始めます。
※モチーフは実際にものが無くても想定でOK。見て描きたい場合は、画材店で石膏のものが売られています。自分でケント紙を切り貼りして作るのも良いですね。
大き目のスケッチブックに鉛筆と練り消しで正確なデッサンをしてみましょう
実は簡単なようで結構難しいです。
主に気を付けるポイントは下記の通り
・明中暗反射光の立体感がわかるか
・床の影が自然に見えるか
・パースが正確にとれているか
・立方体が直方体に見えないか(すべての辺が同じ長さにみえるか)
・円柱の楕円がゆがんでいないか
・球体は完璧な円になっているか
本当にこれ以上描けない!というところまでじっくりと描いてみましょう。
ぼくがこれを初めて行ったときは1枚絵の絵で大体6時間ぐらいかけています。
描いていると結構つまらなくてしんどいですが、後々効いてくるので描いておきましょう
この練習は楽しいかどうかで言うと、めちゃくちゃつまらないです。
ですが、ここで学んだことはは3ヶ月後ぐらいにじわじわと役に立ってきます。
2リンゴ、電球などの単体での静物
次にシンプルな形状のものを単体で描きます。
先ほどの基礎形態で学んだ立体感の出し方や、パースの取り方を生かして描いてみましょう。
おすすめのモチーフは全体の色の色が同じで、シンプルな形態のもの。
例えばリンゴやバナナ、卵、ニンジン、ナス、ティッシュケース、缶ジュース、電球など。
ここで主に学ぶのは質感や固有色、そのモチーフらしさの表現です。
質感は鉛筆を立てたりで寝かせたり、ティッシュでこすったり、練り消しをうまく使ったりして表現しましょう。
時間配分は最初は1枚6時間以上かけて、もう描けない、、ぐらいまで徹底的に描き込みます。
描けない、、!と思ったところからさらに時間をかけてよりよくしていきましょう。(自分の描写力の限界を突破させる感じです)
※ちなみに美大受験をする目的で描く場合、1枚にかける時間を徐々に短くして描いていき、実際の試験時間に合わせて行きます。武蔵美とか多摩美だと、受験課題の複数モチーフのデッサンの時間が3時間なので、単体のモチーフは1時間以内で書きます
単体のモチーフの描き方については多くのデッサンの本で解説されているので、それらを参考にするのがおすすめ。
実際に見て描く→本などを見て模写をするを繰り返して行うと効果的です。
3複数を組み合わせた静物
単体のモチーフが描けたら次に複数のモチーフを組み合わせて描いて描いてみましょう。
単体で描くのと複数とで気を付けるポイントは変わってきます。
複数の場合は、物と物との関係性がとても重要になってきます。
例えば、モチーフ同士の空間(どのくらい離れているか)や、固有色の差はぱっと見ではっきりわかるのかなど。
同じものを2つ描くとしても、置かれている位置や光の当たり方が異なるので、同じように描いてはいけません。
モチーフ同士の差を描き切ることが重要なんですね。
モチーフごとに、置かれている場所、光の当たり方固有色、質感は異なります。
すべてのモチーフを1個1個同じように描くのではなく、絵全体でどのように見えるかで描いてあげる必要があります。
僕が予備校にいたときは、すべて同じように描くのは描いてないのと一緒とまで言われました。
絵は差を描くことがとても大切です。
4人物、動物
人物はモチーフの中では最も難しい部類に入ります。
つまずく人が結構多いですね。
主に大切なのはこの2つ
・印象を似せる
・骨格を理解する
人を描くときは、誰かモデルがいればベストですが、そうでない場合は大きめの鏡を用意して自画像を描くのもあり。
・印象を似せる
人の顔を描くときに印象が似なくて苦労する人は結構多いです。
正確に形が取れる人でも、顔が似ないなんてことはよくあります。
ポイントとして、顔の印象は正確な形を取るよりも、比率で考えると似やすいですね。
顔全体に対して縦横の比率、パーツそれぞれの比率が大切になってきます。
また、立体感を合わせることでも似たり似なかったりしてきます。
印象を似せるのは結構難しいです。
こればかりは慣れですね。
ひたすら人の顔をクロッキーするなどして練習しましょう。
・骨格を理解する
人体を描く上で、骨格と筋肉のつき方を知ることは大切です。
これを知らないと不自然な形になりやすく、骨が脱臼して見えたり、骨折して見えたりします。
骨と筋肉の理解は、美術向けの解剖学の本を読みながら、鏡を見て実際に自分の体を触って理解していきましょう。
体が動くと、どのように骨が動くのかや、骨の比率が大切になってきます。
例えば手を描く時では、指1本中のそれぞれの関節の比率や、指同士の比率関係が重要になります。
おすすめの本はこちらで解説しています↓
補足 見たものよりも美しく描く
特に人体に関してですが、見たものよりも美しく描く必要があります。
実物をそのまま描いただけだと、不自然に見えたり、パッとしないことがあるため。
僕の手は指先がかなり丸いので、理想的な手にするために少し補正して描いてました。
実際、ギリシャ彫刻なんかはリアルではなく理想の人体を作っていますし、多くの肖像画は実物よりもカッコよく、美しく描かれています。
(特にナポレオンの絵はそれで有名ですね)
・クロッキー
クロッキーは形を取るための訓練です。
形を取るのが苦手な人には有効な練習方法です。
5分程度の短い時間でひたすら線で描いていきます。
空いた時間でできるので、暇な時にクロッキーしておきましょう。
・着彩
着彩は絵の具を使って絵を制作します。
絵の具はアクリル絵の具、水彩、油絵の具など自分の使いやすいものでOK
(水彩が手間が最も少なく、はじめやすいと思います。)
・模写
模写は日本ではあまりやる人が少ないですが、上達方法としてはめちゃくちゃ効果的なのでぜひやった方がいいです。
描くものはデッサンでも着彩でもOK。
画集を見て、自分でいいなと思ったものをそのままそっくりに描くと、自分では気が付かなかったような立体感の出し方や色遣いなどの引き出しが増えるので、すぐに上達します。
かの有名なピカソも実は中学生時代に画家の父親の教育でひたすら模写を行っていました。
模写は最も効果的な練習法の一つです。
模写だけではだめですが、普段の制作と並行して行っていきましょう!
・パース
パースはものを立体的に描くときに、自然に見せるために必要な奥行きの要素。
このパースを知っているかどうかで絵の初心者かどうかの分かれ道です。
パースは普通にものを描いているだけでは理解できないので、必ず理論を学ぶ必要があります。
絵を描くときに必要なのは「見たものをそのまま観察する」+「絵の理論(立体感の出し方、遠近法など)」の両方のバランスが大切。
見たものをそのまま描くのもめちゃくちゃ大切ですが、それだけだと絵として不自然になる状況が多くあります。
そのときに、理論を知っていれば、より自然に見えるように修正できるようになります。
・色彩
色彩は結構奥が深いです。
色はセンスと思われがちですが良い配色はある程度法則があり、王道のパターンがあります。
なので、勉強すれば良い色が使えるようになります。
色彩の勉強についてはこちらの記事で解説しています↓
・立体造形
立体造形は実は絵の上達にも役に立ちます
立体感をうまく表現できない人はまず実際に立体を作ってみましょう。
水粘土や油粘土をつかって作ると、モチーフの塊感や量感、構造の理解がしやすくなります。
(水粘土が模刻には最適です。)
・画材研究
画材を知ることでも絵の上達に関わってきます。
・画材ごとの特性を知る
画材の種類によって、描き方や得意な表現は変わります。
普段使わない画材も使ってみて、自分の表現に合わせて適したものを使えるようになるのがいいですね。
例えばアクリル絵の具は速乾性のため、強い色を手早く重ね塗りをして描くのに向いていますし、水彩はにじみ表現が得意。
画材を変えるだけで絵の雰囲気は大きく変わります。
・同じ画材の中のメーカーごとの違いを知る
同じ画材の中でも、メーカーによって特徴が少し変わってきます。
発色や透明度、色の伸びが違うので、買う前にネットで調べておきましょう。
僕のこのブログでも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
・複数の画材を組み合わせて表現してみる
画材を組み合わせて描くと、表現の幅が何倍にも広がります。
独自の絵画表現をしたいときはいろんなものをとりあえず組み合わせて見て、画材同士の化学反応を楽しみながら描きましょう。
画材では無いものを組み合わせるのも面白いですね。
油絵の具にティッシュや砂を練り込んだりはみんな結構やってます。
・作品のコンセプト
基礎的な訓練を終えた後、自分の作家としての作品を制作するにはコンセプトが大切になります。
コンセプトとは、その作品は何を表しているのか、どのような意味があるのかです。
特に現代アートでは重視されるので学んでおきましょう。
コンセプトのある作品は作品に深みを持たせられます。
5課題と上達する練習方法を見つけよう!
ここからは絵の課題ごとに解決する練習方法を解説していきます。
形を取るのが苦手
形を取るのが苦手な人はひたすらクロッキーを行いましょう。
1枚5分×3回とかで全然良いので、毎日コツコツ続けましょう。
形を取れるだけで絵のクオリティは9割増しになります。
立体感を出すのが苦手
立体感を出すのが苦手な場合、原因のその多くは明中暗反射光の差が少ないこと。
明部は紙のざらざら感を残してみたり、陰の部分はしっかり擦ったりして差を出すことが大切。
また、反射をしっかり描いてあげることも大切。
実際目で見たものは反射光がほぼ見えなかったりしますが、その場合は絵の中で自然に見える程度に上手く強調してあげます。
色が苦手
配色が苦手な人は色彩学の本をまず読み込んで、基礎的な色の仕組みを理解しましょう。
その後、自分の好きな絵の模写を行うと色使いを体感として学べます。
色はセンスと思われがちですが、ある程度美しく見えるための法則性があります。
なので、訓練次第で劇的によくなるので本を読んだりして学びましょう!
僕も最初は色の扱いがめちゃくちゃ苦手でした、、
ですが、今では得意と言えるぐらいになったので、だれでもよくなると思います。
モチベーションが上がらない
絵を描いているとどうしてもモチベーションが上がらないときはよくあります
そこで解決方法をいくつか紹介しておきます。
・とりあえず絵を世に出して反応をもらう
・画材や作風を変えてみる
・制作に関する本を読む
など
詳しくは下記の記事でまとめたのでぜひ参考にしてみてください↓
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